2021/11/22 11:07

松本十二薬師をめぐる会 編・著 「松本十二薬師めぐり」

12月の新刊のご紹介です。

全国各地にある「十二薬師」(京都十二薬師、会津十二薬師、伊予十二薬師など)ですが、松本にも「十二薬師」がありました。
縁起については、第一番札所の生安寺、第九番札所の湯の原薬師堂、第十番札所の下金井薬師堂に、源重之(三十六歌仙のひとり)に纏わる言い伝えがあります。
かつて信濃の国府に赴いていた重之が病を患い、様々な治療を試みたのですが一向に効果が無かったところ、ひとりの老翁があらわれて当時の国府近くの草庵へ参拝することをすすめました。話によると、疫病が流行ったおりに行基が薬師如来をその草庵に安置して疫病退散を祈ったところ、終息したということでした。重之もその草庵へ赴き祈ると、夢の中に四天王と十二神将をしたがえた黒衣の老僧があらわれ、そのお告げの通りにすると、重之は健康をとりもどしたということです。
江戸中期頃から伊勢参りをはじめ全国各地に伝わる札所参拝が盛んになりましたが、松本十二薬師についてもそれらと期を一つにするものではないだろうかと考察されています。
とはいえ、松本十二薬師札所に関する詳細情報は少なく、「松本十二薬師をめぐる会」(https://juuniyakushi.wixsite.com/site/)が発足されてからは、十二薬師札所の巡拝とともに資料収集につとめ、史料の発見等により文化8年(1811)には存在したことが明らかになりました。
遺失された資料の発掘だけではなく、現時点での記録をしっかり残し未来へつなげていくことは、文化の継承ともいえます。
「誰かが知ってる十二薬師から、誰もが知ってる十二薬師」に大きく飛躍できることを願うと筆者は語っています。

十二札所の地図、小林憲宏氏の各堂のイラストや御朱印などの写真を含め、ガイドブックとしても、また資料としても活用できる1冊です。
クラフト舎オンラインショップでは12月8日から、各書店での販売は12月10日からとなります。